1月は3店舗合計で108台、2月は14日までに76台の個人リースを契約―。
日昇自動車販売(玉野寛明社長、東京都世田谷区)は、個人向け自動車リース商品「フラット7」の販売に注力している。
「オニキス」を展開するオートコミュニケーションズ(同)の母体である同社は、昨年8月から直営3店舗でフラット7を試験的に導入。
成果を着実に積み重ねてきた。
個人リースというと、ユーザーにどのように勧めたらよいか分からないという販売店も少なくない。
フラット7を扱う「オニキス市原」で、取り組み方を聞いた。(栗原 浩之)
千葉県市原市にある市原店のオープンは約20年前。
当時は残価設定型クレジット「ワンナップシステム」で新車の販売を伸ばしてきた。
近年は新車・中古車を合わせて年間400台を販売。
そのうち約8割がワンナップシステムだった。
認証工場を併設し、車検も年間800台をこなすが、「じわじわと販売や整備入庫が減少していた」(日昇自動車販売の須田 毅 営業本部長)という。
そこで地元客を中心とした車両販売とメンテナンス入庫の獲得を狙い個人リースに取り組んだ。
ただ、フラット7の導入前に行っていたリース販売では、「売る仕組みが整い、来店があっても、売り方がついて行かず、結果的に失敗した」という経験があった。
そのためフラット7の開発では売り方に着目して準備を開始。
タイミングよく船井総合研究所(高嶋栄社長、大阪市中央区)の協力が得られたことで、昨年6月ごろから急速に開発が進展。
8月には中規模の市原店、大規模の熊本店、小規模の札幌店の3店舗で「同じ売り方、同じ販促ツールと折り込みチラシ数でトライアルを開始した」。
3カ月にわたり試行錯誤を重ね、昨年末にフラット7のパッケージ化にめどが立った。
3カ月間で得られた成果は「女性やシニア層からの良好な反応」と振り返る。
特に商談数に対する成約率は「これまで3割だったのが、約8割に跳ね上がった」と微笑む。
この成約率は1年目の女性スタッフでも月8台の契約ができたという売り方のマニュアル化がもたらした。
もちろんロールプレーイングを繰り返し、顧客に合わせた応対方法やトークの順番を身に付けたことも大きな要因。
コツをつかんだベテランスタッフは月30台の契約に至ったという。
また、残価設定型クレジットの普及が進み「所有に対するこだわりが少なくなってきたことも大きい」と分析する。
同店で成約した顧客の7割は新規という状況についても「7年間のつながりが期待できる点でも励みになる」と話す。
リース期間満了後は「良質な中古車が入庫することになるので、新たな販売手法が考えられる」と先々の期待も高まる。
同社では今後、フラット7の導入店舗を増やし、直営店で月間500台の契約を視野に入れる。
オニキスネットワークに加盟店が増えることで認知度が高まり、相乗効果が高まることにも期待。
近く立ち上げる「ウルトラ車検」との組み合わせによるバリューチェーンの入り口拡大や、個人リース専門店なども計画していく考えだ。